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対談

「僕は週1でラウンドしてるのに、外国人を年に2回しか見ない」——ゴルフ場2,200コースで世界2位の日本が、インバウンドゴルフで出遅れているワケ

藤沢久美の社長Talk 番外編

Voicyで配信中の対話番組「藤沢久美の社長Talk」の番外編。ゲストは番組を一緒に運営してきた岡道俊人氏。日本のゴルフ場は2,200コースで世界第2位。それなのに、なぜ外国人プレイヤーはほとんど来ないのか——。

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株式会社Elite Golf & Culture 代表取締役社長・岡道俊人氏(左)と、藤沢久美氏(右)が対談後に並んで撮影した写真
株式会社Elite Golf & Culture 代表取締役社長・岡道俊人氏(左)と、藤沢久美氏(右)

登壇者

藤沢久美(ふじさわ・くみ / Kumi Fujisawa)

Outside Director, Toyota Motor Corporation & Mercari, Inc. / Chairperson, Institute for International Socio-Economic Studies (IISE)

株式会社国際社会経済研究所 理事長。大阪市立大学(現・大阪公立大学)卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1995年に日本初の投資信託評価会社を起業。1999年、同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2007年、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。政府各省の審議委員などの公職に加え、トヨタ自動車株式会社、株式会社しずおかフィナンシャルグループ、株式会社メルカリなど上場企業の社外取締役を兼務する。2006年スタートの対話ラジオ「藤沢久美の社長Talk」をはじめ、これまでに対談した社長数は2,000名超。

岡道 俊人(おかみち としひと / Toshihito Okamichi)

株式会社Elite Golf & Culture 代表取締役(Representative Director & CEO, Elite Golf & Culture Inc.)

新卒で平和PGMグループに入社し、14年間在籍。エリア責任者として、全国の富裕層・法人顧客との関係構築とマーケティングを担当。ゴルフ場の運営部門ではなく、顧客と向き合う立場で日本のゴルフを見てきた。

その後、株式会社M&Aクラウドに参画し8年間在籍。執行役員 社長室室長を務める。

2026年2月、株式会社Elite Golf & Cultureを創業。現在も年間60ラウンドほどプレーする。

「日本のゴルフ場っていいの?」が、そもそも伝わっていない

藤沢久美氏(以下、藤沢):今日は「藤沢久美の社長Talk」番外編でございます。今回のゲストをご紹介します。株式会社Elite Golf & Culture代表取締役社長、岡道俊人さんです。岡道さん、よろしくお願いします。

岡道俊人氏(以下、岡道):よろしくお願いします。

藤沢:まず、社長Talkを一緒にやってたから、変な感じですけどね。一緒に社長Talkを運営してくれていた岡道さんが起業されたんですよね。

岡道:そうなんです。今年(2026年)2月に。

藤沢:「Elite Golf & Culture」って、またすごい横文字な会社なんですけど、これ何の会社?

岡道:僕の体験談をもとに作った会社なんですけれども、日本のゴルフ場にたくさんの外国人のプレイヤーを呼んで、日本のカルチャーに触れてもらうという、インバウンドゴルフツーリズムの会社をやっております。

藤沢:インバウンドとゴルフツーリズムって、あんまり聞いたことなかったです。外国人の人って、日本でゴルフやってるんでしたっけ。

岡道:まだまだ少ないんですけれども、やってくれてはいるっていう状況です。インバウンドゴルフツーリズムって、世界はもちろん、アジアの中でも日本は出遅れてるんですよ。

藤沢:私たちが海外のリゾートに行くとゴルフやるとかっていうのはよくある話なんだけど、日本にゴルフしに来られるっていうイメージってあんまりなくて。外国の人は、日本でゴルフできる環境にないってことですか。

岡道:できる環境にはあるんですけれども、予約の仕方がわからない。もっと手前で言うと、「日本のゴルフ場っていいの? 素敵なの?」みたいなところが、たぶんわかっていただけてないというか、発信しきれてない部分があって。そこからやらないといけないかなとは思ってます。

日本人の方で、たぶん久美さんのお知り合いの経営者の方も「じゃあベトナム行ってゴルフやってきたよ」とか「タイ行って、旅行でゴルフしてきたよ」って話はあると思うんですけど。

藤沢:めちゃくちゃあります。

岡道:でも、日本に来てくれる海外の方って、ぜんぜん少ないんですよ。

「僕は週1でラウンドしてるのに、外国人を年に2回しか見ない」

藤沢:ですよね。アジアに駐在してる日本企業の人って、出張してくる役員のためにゴルフ場の予約をするのが仕事のけっこうなシェアを取ってますみたいな話はよくある。私も外資系で働いてたけど、海外のボスが来るからゴルフ場(の予約を)しますなんて、ほぼほぼ聞いたことなくて。

岡道:ないですよ。

藤沢:岡道さんもゴルフ、年間でけっこうやってるでしょ。

岡道:やってます。僕で今、年間60ラウンドから、多い年だと80ラウンドとかはしてますね。

藤沢:週1回以上やってる。

岡道:やってますけど、そういうところでも外国人の方はあんまり見ない。見ても年間2回とかで、それも外国人が割と来てるようなゴルフ場に行ったときに、たまたまいらっしゃるぐらい。僕が週1ぐらいのペースでラウンドしてるのに見ないってことは、やはり少ないんだなっていう。

芝生の上で「うちのノンコア事業、売却したいんだけどさ」

藤沢:で、それを変えたいと思ったと。起業して。

岡道:そうです。僕は新卒で、平和PGMグループという、今だと世界で一番、株式会社としてゴルフ場を保有している会社に入って、そこで14年間ほどやってたんですけれども。ゴルフが大好きっていうのと、その後、M&Aクラウドの創業に携わって、8年間。

その在籍中も、ゴルフを通じて経営者の方と仲良くさせていただいたり、M&Aの仕事がそこで発生したり。芝生の上でゴルフをやりながら仕事の話をして、「岡道くん、このうちのノンコア事業ちょっと売却したいんだけどさ、話聞いてよ」みたいなことがけっこうあったりとか。

経営者のつながりもできましたし、もちろん社長Talk、このラジオもそうなんですけれども、ゴルフを通じて経営者の方とコミュニケーションを取れることが多くなりましたので、すごく僕はゴルフには感謝してるというか。生涯通じてできるスポーツっていうのもあって、一生やっていきたいなというふうに思っていたのと、

ここ2年ぐらい、自分自ら地方に行く機会をかなり増やしていて。月に2回ぐらいは出張でいろんな各地に行って、ゴルフ場もその中で回ってきたんですけど。地域地域にお金が落ちないと。例えば、ふるさと納税でこのお金が何に使われているかわからないみたいな状況を目の当たりにしてきたので。地域にお金が落ちる仕組みを作ろうっていうのが(起業のきっかけで)、

だったら僕の大好きなゴルフ場に、もっとたくさんの人が来て、お金が落ちていって、そこにまた雇用も生まれてっていうのを、しっかりやりたいなと思ったときに、「いや待てよ」と。

ゴルフ人口は500万人を割った。でも世界は増えている

岡道:日本って、ゴルフをプレーする方が530万人ぐらいいたんですけど、直近の数字だと50万人ぐらい減って、480万人。500万人を割っちゃいましたと。団塊の世代(1947〜49年ごろに生まれた人口の多い世代)の人たちがだいぶ引退されてて、ゴルフのプレイヤーが減っているっていうのが今の日本の現状なんですけど。世界は逆に増えていってるんですよ。

※編集部注:日本生産性本部『レジャー白書2025』によると、2024年のゴルフ(コース)参加人口は480万人で、前年の530万人から9.4パーセント減。統計上、初めて500万人を割り込んだ。ゴルフ練習場の参加人口は450万人。

で、日本は人口も減っていくので、ゴルフ場が今……あ、そもそも久美さん、日本ってゴルフ場が何コースあるか知ってます?

藤沢:ぜんぜん知らないです。当て勘でどのくらいかな、みたいな。

岡道:千葉だとか北海道って多いよなとか、イメージあると思うんですけど。(日本のゴルフ場は)2,200。

藤沢:そんなに?

岡道:そんなにあるんですよ。2,200って世界第2位なんです。アメリカ、日本(の順)。

藤沢:こんなに狭い国土なのに、そして7割が山なのに。

岡道:そう。その山の中にゴルフ場を切り開いていったのがバブルの時代だったので。

※編集部注:R&A(全英ゴルフ協会)の調査『Golf Around the World』では、日本のゴルフ場数は米国(約1万6,000コース)に次ぐ世界第2位。ただし国内の営業中コース数は約2,120コース(2024年、一季出版調べ)で、2004年の2,356コースをピークに減少が続いている。

コロナ禍で「日本のゴルフだけ」が伸びた。それが出遅れを生んだ

岡道:で、なぜ今アジアでインバウンドゴルフに出遅れているかというと。もともとゴルフって、団塊の世代の方たち、つまり日本の国内需要だけでだいぶ回っていたんですよね。それがずっと続いていた。

そこにコロナが来ましたと。ほとんどの産業が厳しくなっていった中で、(密になりづらい)ゴルフに注目が集まって、復活しましたよね。そこだけは日本のゴルフ場も伸びたんですけど、コロナが明けてからは、だんだん厳しくなっていった。

つまり、本来なら落ちていくはずのところがコロナ期間中に持ち直してしまったので、本来やるべきだった海外からの誘客が出遅れたんですよね。それで今は人口減少とともに課題が浮き彫りになってきて、いよいよ日本のゴルフ場がやばいよっていう形になっている。

※編集部注:経済産業省「特定サービス産業動態統計」によると、2021年のゴルフ場入場者数は1,002万8,048人で前年比10.4パーセント増。21世紀に入って最大の伸びを記録した。帝国データバンクの調査でも、2024年度のゴルフ場市場規模は約8,100億円と4年連続で増加し、6年ぶりに8,000億円台を回復している。国内需要だけで市場が回復基調にあったことが、結果としてインバウンド対応の優先順位を下げた側面がある。

そこにキャディ不足も重なって、人も減っている。そうなると2,200という世界2位の規模のゴルフ場を持っている日本が、もっと減ってっちゃうんじゃないかなっていう。

ゴルフ場のM&Aもそこそこ起きてはいるんですけど、九州エリアだと韓国の企業に買われたりとか。僕はそれ自体はまったく悪いことだと思ってないんですけど。それだったら、日本の企業がちゃんと運営できるようにするにはどうしたらいいんだろう、地方にお金が落ちる仕組みってどうしたらいいんだろう(と考えたときに)、海外の人たちがプレーしてくれて、長期滞在して、日本にお金がたくさん落ちて外貨を稼ぐ、これだなと思って。

※編集部注:韓国企業による九州のゴルフ場買収は近年相次いでいる。韓国のショーゴルフは2023年12月に鹿児島県の「さつまゴルフリゾート」を買収し、その後も熊本県のリゾートを取得。サイカンホールディングスは佐賀県内で4ヵ所、龍平リゾートは長崎県で2ヵ所の買収を進めている。韓国国内はゴルフ場の適地が少なく地価も高いうえ、円安で日本のゴルフ場の投資価値が高まったことが背景にある。

藤沢:なるほど。けっこう考えました?

岡道:1年半ぐらいは、いろいろ事業の計画を考えてやりましたね。

「呼びたいから手伝って」とは言われる。でも呼び方がわからない

藤沢:だってね、最初「起業します」っておっしゃってたときは、地方創生の何かをやるっておっしゃって。そこと絡んでいくのがゴルフっていう、掛け算的な。

最初に聞いたところでは、まだ日本でゴルフをプレイされる外国人は少ない。その理由は、予約の仕方がわかんないとか、どこにどう素敵なゴルフ場があるかわかんないとか。確かに、たぶんゴルフ場自体も、外国人の方にプレイしてもらう前提では、今まで経営してなかったでしょう。

岡道:おっしゃるとおりです。

藤沢:だから、そのためにはマインド変えてもらわなきゃいけないんじゃないですか。

岡道:デジタル化やAI化みたいなところも進んでないですし、そもそも英語表記をやってるところ自体が少なかったりとか。ゴルフ場も、いよいよ団塊の世代、要するにメンバーさん、もともとゴルフの会員権(そのゴルフ場を優先的に利用できる権利)を買ってプレイされていた方々が辞められていくと、「どうしようかな」ってなってくる。じゃあ海外の人を呼びたいなと思っても、呼び方もわからない。そこのサポートをしなきゃいけないなというところはありますね。

藤沢:そういう問題意識を持って、インバウンドでゴルフをやっていただくサービスに変えたいと思っているゴルフ場は、増えてきたってことなんですか。

岡道:まだ少ないです。ただ、こっちから発信すると「いや、呼びたい。呼びたいから岡道さん手伝ってください」って。断られることはないって感じです。最近いろんなゴルフ場に顔を出させてもらってるんですけど、ぜんぜん断られないですし。

藤沢:そっか。でも拒否感はないわけ。

岡道:まったくないです。

藤沢:だからチャンスはありますよね。

岡道:あると思ってますね。

「千葉とか北海道じゃなくても、いいコースはたくさんある」

藤沢:そういう中で、すでに海外の方が「このゴルフ場はいいね」って言って、割と人気になっているところとかは、あったりするんですか。

岡道:あります。僕も自分で行っていいなと思ったところは、海外の方も素敵だなって思ってくれてるみたいで。直近で行ったところだと、鹿児島県にある、いぶすきゴルフクラブ。本当に最南端のところにあるんですけど、大自然に囲まれていて、開聞岳(かいもんだけ。「薩摩富士」とも呼ばれる、鹿児島県南端の円錐形の山)もすぐ近くにある。僕的にはすごく感慨深いところでした。

開聞岳のあたりは海外の方もすごく多かったですし、そういった方たちがゴルフもプレイされていくんだろうなっていうのを見てて、とても素敵なゴルフ場だなって思いましたね。

あとは四国で言うと高知。四国って日本人でもなかなか行かないって。

藤沢:人口も日本で一番少ない、1位、2位を争う場所ですね。

岡道:そう。その中でも高知は本当にいいコースがあって。土佐カントリークラブと、もう1つ、Kochi黒潮カントリークラブ。

この2つはコースの顔がまったく違う。土佐カントリーはどちらかというとアップダウンも激しくて玄人より、黒潮カントリークラブは広大で、海も見えて。

藤沢:海見えるの、いい感じ。

岡道:すごいゴルフ場で。だから海外の人も含めて、日本人の方もそうなんですけど、土佐カントリーを回った後に黒潮を回ってっていう。土佐カントリーで辛い思いをして、スコアも叩いて、でも黒潮に行くとなんとなく癒される、みたいなことを、両支配人がおっしゃってたので。コースとしても、提携じゃないんですけど、仲良くて。

僕も両方とも行ってきたんですけど、いいコースは千葉県とか北海道とか沖縄じゃなくても、たくさんあるんだなっていうのは、行って思いましたね。

※編集部注:「Kochi黒潮カントリークラブ」(英語表記:Kochi Kuroshio Country Club)は高知県安芸郡芸西村にある36ホールのシーサイドコースで、男子ツアー「カシオワールドオープン」の開催コース。「土佐カントリークラブ」(英語表記:Tosa Country Club)は高知県香南市夜須町、高知龍馬空港から車で約15分の丘陵地に位置する36ホールのコース。

「ゴルフをやりたいという問い合わせが来たときに、断ってたんですよ」

藤沢:じゃあ、そういう素敵なコースもある中で、このElite Golf & Cultureとしては、どういうビジネスになるんですか。

岡道:僕ら今、BtoBとBtoCの2つで展開しておりまして。BtoBのほうは、旅行会社さんとか海外のエージェンシーの方々に、それこそ僕の得意技、起業してすぐドアノックですよね。

藤沢:突撃でね。

岡道:「僕はゴルフのプロフェッショナルだよ」と、日本の話を聞いてほしいっていうのをダイレクトに伝えに行ったら、「来てくれ」と。本当に起業してすぐ、4月とかに資料を持って行ったら、びっくりしたんですけど。

(対応してくれたのは)海外の方なんですけど、日本のゴルフ場がとても好きだ、素敵だっていうのは自分たちもわかっていたけど、「僕たちが予約するのは大変だし、その地域の中での本当にいいコースをお客さんに提供できて、喜んでもらえる自信がなかったから、ゴルフやりたいっていう問い合わせが来たときに断ってた」って言われたんですよ。

藤沢:えー、もったいないね。

岡道:本当にもったいないなと思って。でもそれが1社2社ってあったから、そこまで言われるんだったら、本当にニーズあるなと思って。C(個人のお客さま)にはいろいろ聞いてたんですけど、BtoBでもそういう話だったので、やる意味がありそうだなと。

ゴルフ場からは、一切フィーを取っていない

岡道:1つ目の事業は、海外の方が日本でゴルフをしたいと言ったときに、個人であろうが、旅行会社経由であろうが、全部受けて、予約のコンシェルジュをするって形で。どのゴルフ場がいいっていう提案はします。「今度の10月に沖縄に行くので、どこか良いゴルフ場紹介してください」とかっていう問い合わせが来るので。それに対しては「ここはこういうコースでこういうのでいいよ」っていうのを僕のほうでレコメンドして、「じゃあそこで」っていうのを受けるっていう形にしてます。

BtoBのほうは、「こういうツアーのパッケージがあるから、そこにゴルフをしたいっていうのが入ってきました」みたいなのが来るようになったので。僕が「じゃあ、こことここのコースが良さそうですよ」と提案して、取引させていただく。

BtoCのほうは、Elite Golf Japanというプロダクトを作ったので、そこに海外の方からダイレクトに問い合わせが来て、僕が紹介して、「じゃあそれでOK」となったら取引完了、という形のサービスも今やっていて。

それがなんと、プロダクトを立ち上げて4ヶ月ぐらいで、今は2日にいっぺんぐらい、海外からダイレクトに来るようになったんですよ。

藤沢:じゃあ、ウェブサイトがあるわけですか。それに皆さんがアクセスしてきてくれるようになったと。

岡道:AI(対策)のところでかなりがんばって、今やってます。検索に引っかかるように、というより、AIに引っかかるようにって感じかもしれない。

藤沢:そうすると収益はどこからもらうんですか。ゴルフ場? お客さん?

岡道:お客さんです。

藤沢:お客さんから、手間賃をもらうっていう感じ。

岡道:ゴルフの予約のコンシェルジュフィーっていう形でいただくのがメインになっていて。ゴルフ場にはしっかりと儲けていただきたいので、そちらからは一切フィーを取っていない形にしてますね。

藤沢:なるほど。じゃあ、メインのビジネスは、このインバウンド向けゴルフコンシェルジュって感じかな。

岡道:今、旅行の手配業(旅行サービス手配業。旅行会社から依頼を受けて宿泊や交通などを手配できる登録制度)も取得しましたので、旅行会社から依頼を受けたときに、僕のほうでゴルフ以外の手配もできるようになったと。じゃあ鹿児島に行って、いぶすきゴルフクラブでゴルフした後に、砂蒸し風呂のツアーを組めますと。そういうのも提案できるようになったので。今後はそっちでもちゃんとツアーを組んで、お客さんに提供できるようにして、売上を上げていこうと考えています。

参入障壁は「ゴルフ場とのつながり」と、AIに引っかかること

藤沢:でも、こうやって岡道さんがインバウンドゴルフっていう新しいマーケットを作り始めると、みんなが「そういうニーズもあるんだ」って言って、同じことをやり始めたらどうするの。

岡道:僕の強みは、ゴルフ場とダイレクトにつながっていること。もちろんPGMもそうなんですけど、ゴルフ場も、単純に外国人のお客さんを呼ばれても対応が難しかったりもするので。その手前でしっかりと、言い方はあれですけど、コンサルしてあげて。英語のところだったりという従業員の教育から、例えばPOCKETALK(ポケトーク。携帯型の音声翻訳機)のようなものを導入させていただくこともできますし。

そこまでやらないと、単純に呼ばれても困るみたいなところもあって。今まだ競合はほぼ出てきてないんですけれども、英語対応で細かいところまでサービスをできる会社が、ないんじゃないかなと思っているっていう。

藤沢:でも、それこそAIとかかませるとやられちゃうかもしれない。参入障壁どうやって作っていくのかなと思って。

岡道:だから僕は、それこそゴルフ場とのつながりが強くある、っていう形ですね。

藤沢:なるほど。でも、ゴルフ以外も広げていくっていう感じになってくる。

岡道:ツアーも作っていくっていう形ですね。

藤沢:今は2日に1回ぐらい申し込みも来てるんで、人も増やして、そういう対応も増やしていかなきゃいけない。

岡道:そうなんですよ。CS(カスタマーサポート)でちゃんと予約ができる方。でも、それってゴルフの経験者じゃないと予約がなかなか難しかったりするので。あとは、海外の方が手ぶらで来たら、「レンタルクラブは?」「そのゴルフのシャフトの硬さは?」とか「シューズのサイズは?」とか、けっこう細かいやり取りがある。

藤沢:あ、そうなんだ。そうすると、いろんなゴルフのグッズのメーカーとも提携できそうですね。

岡道:そうですね。僕のElite Golf Japanというサービス自体が、海外の方が見るサービスなので、そこに販売したいとかリーチしたいという企業さんからの問い合わせはいただいております。先日も株式会社Beyondさんと提携のリリースを出したんですけど、すごい反響でかなりの問い合わせをいただいております。

「うちのグローブを海外の方に向けて販売していきたいから」と。そこで広告とかも発生するじゃないですか。そういう売上も、メディアとしてサイトパワーがついていければ、どんどん出てくるんじゃないかなと思ってます。

「エリート」とついているけれど、来ていただける方はみなさんエリート

藤沢:あとは、社名に「エリート」ってついてるから、富裕層しか相手にしませんみたいなイメージがあるけど、そこは?

岡道:まったくそんなことないです。誰でも大丈夫っていう。日本に来て、純粋にゴルフを楽しんでいただける方であれば。別にエリートじゃないってわけじゃないんですけど、来ていただける方はみなさんエリートかなと思ってますね。

藤沢:なるほど。で、これは北は北海道、南は沖縄までどこでも対応します。

岡道:どこでも対応します。

藤沢:今はもうすでに、それでゴルフを実際にプレイされている方も出てきてるってこと。

岡道:出てきてます。予約もどんどん入ってきているので、すごくうれしいですね。

藤沢:すごい目の付けどころが良くて、今まで誰もやってなかったことなんで、これから真似しようとしてはきっと出てくるだろうから。あとはたくさん来てくださると、どこかで何かしらトラブルが起きるから、そういうことの対応とか、想定外のこともたくさん起きていくと思うんだけれども。そういうことに対しては、どうやって今準備をしていく。

岡道:まさにその参入障壁みたいなところで言うと、今、下地を作ってるのはAIO(AI検索最適化。生成AIの回答に引用されるための対策)の対策。これはけっこう時間をかけて今もやり続けていて。

先行者利益じゃないですけど、海外の人が日本でゴルフするってなったときに、見るサービスはElite Golf Japanだよっていう状態を作っていかなきゃいけない。そこができれば(優位性が)確立されるんじゃないかなと思っているので、いろんなツアーとかゴルフ場との提携も進めながらやっていきたい。

1日にこれが1件、5件、10件と入ってくる世界を僕は想像してるし、近い将来はぜんぜん来ると思っているので。そうなったときにはCSチームとか、ある程度AIで自動化はできても、ゴルフ場に電話して予約するっていうのは最初のうちはやらなきゃいけないので。そこは人も必要かなと思ってます。

藤沢:これはずっと育てていこうとしてるんですか。でも、ある程度まで来たら、AIの投資とかけっこうお金がかかってくるから、まさにM&Aしてもらうっていうのもありそうね。

岡道:そうですね。僕もM&Aクラウドにいたから、そこはすごくフラットに考えられるようになってますね。ただ、勢いよく伸ばしていけるようなプランを今作ってはいるので、人もそれなりに必要だなと思ってますし。

そうなってきたら、大きい会社と一緒になってもっと伸ばしていったほうがいいと考えるのか、自力でやっていくのか。それを考えられるような、しっかりとした綺麗な財務にしていこうというのは、設立当初からちゃんとやってるって感じですね。

藤沢:その辺はM&Aやってたし、よくご存じだからね。

ベトナムはコース100で1,200億円、日本は2,200コースで800億〜900億円

藤沢:今後の展望は、じゃあそういう感じで。まだまだ始まったばっかりだからね。

岡道:日本のインバウンドゴルフツーリズムを、せめてアジアの中でナンバーワンにしたいなっていうのとか。日本って安心安全で、ご飯もおいしくて、これだけ四季もあって。夏はね、相当ゴルフは暑くなって(しまうけれど)。

藤沢:外でゴルフ?

岡道:なんだよね。久美さんからしたら考えられないかもしれないけど。そうなってくると、北海道に行きたいっていう方が多くなったりとかして。寒い時期は沖縄とか、いい時期は千葉とか、いろんな地域があるので。

それで言っても、もともとタイが一番アジアの中でも先行してインバウンドゴルフに取り組んでいって、ベトナムが今追随してきてて、日本はどうなってんのって感じなんですけど。

だって、2025年のインバウンドゴルフの売上が、だいたい3,500億円と言われてるんですよ、タイで。ベトナムで1,200億円。で、日本が800億〜900億円ぐらい。

藤沢:へー、すごい残念な数字ですね。

岡道:残念な数字なんですけど、さっき言ったとおり、日本って2,200もコースがある。ベトナムはコース100しかないんですよ。

藤沢:それでもそれだけ上げられるんだ。

岡道:国を挙げて、インバウンドでやるのはゴルフだ、これをもっと伸ばしていこうっていう。ベトナムのインバウンドの売上って5.7兆円とかっていう数値が出てて、そのうちの2パーセントがゴルフなんですよね。

日本は去年、過去最高で4,200万人ぐらい来て、9兆円とか10兆円とか売上があったと思うんですけど。そのうちの1パーセントなんですよね、インバウンドゴルフの売上って。その数字が2パーセント、3パーセントになるだけでぜんぜん違う。伸びしろがめちゃくちゃあると思ってるんです。

※編集部注:ベトナム国家観光総局によると、2025年のゴルフツーリズム売上は約10億USドルで、国全体の観光収入の8〜10パーセントを占める。18ホール換算で約100コースを擁し、2030年までに200コースへの拡大を目指している。一方、日本の訪日外国人旅行者数は2025年に4,268万人(日本政府観光局)、旅行消費額は9兆4,559億円(観光庁)でいずれも過去最高。なお、タイおよび日本のインバウンドゴルフ市場規模については、これを継続的に計測した公的統計が存在しない。本文中の「タイ3,500億円」「日本800億〜900億円」は、いずれも業界関係者の試算による数値である。

近くにホテルがない。古民家をホテルにするようなところとも組まないといけない

藤沢:確かに。あとは、日本でゴルフをするっていうのが一体どういうものなのかっていうイメージ作りも、たぶん同時に大事なんだろうなと。リゾートでやるときって気楽にやれるじゃないですか。日本のゴルフ場は、いろいろ面倒くさい。

岡道:そう。

藤沢:ゴルフ場によっては、お洋服、マナーとかいろいろあるから。2,200あるうちで、気楽にやれるゴルフ場、すごく格式張ったザ・ジャパニーズを楽しめるところ、そういうのミドルですとか。そういう分類とか、たぶんやることいっぱいありそうな。

岡道:ありそうですよね。あとは、近くに意外にホテルがなかったりするから。

藤沢:地方はぜんぜんない。

岡道:そういうところも、地方の古民家をホテル化していくようなところとコラボしていかなきゃいけないだろうし。家族で来る人をどうするかとか。

あと……日本で海外の方に見せたいところってないですか? 僕もまだ日本も海外もぜんぜん行けてないというか、ポイントポイントでしか行ってないから、(外国人に見せたい場所が)なかなか思いつかなくて。

奈良に来ると、自分たちの先祖がどこで何をしていたかがわかる

藤沢:来る人によって違うんだけど、「日本人」っていうものが非常にユニークな存在なので。それを感じてもらえる場所っていうのは1つあるのかなと思ってて。京都とかにたくさん来られるのも、まったく違う文化を楽しみに来てるわけですよね。

奈良っていうのは、日本っていう国が生まれた場所なんですけど。当時の国づくりって、実はシルクロード経由で来たいろんな国の人たちが国の中枢にいたので、仏像を見るだけでも、ペルシャ系の仏像とか、モンゴル系の仏像とか、インド人系の仏像とか、ベトナム人系とか、インドネシア人系とか、みんな違う。

誰が奈良のどこに来て何をやったかっていう史跡もあるぐらいなので。奈良に来ると、ASEAN、ペルシャから東の人たちっていうのは、自分たちの先祖が奈良のどこに来て何してたかがわかるんですね。ふるさとに帰ってくるみたいな感じで奈良に来てもらったらいいなっていうのは、私は奈良出身なので思ったりしてますね。

あとは私の海外の友人たちは、日本に来て何やってるかっていうと、割と自然に行ってます。だいたい海外の都心に住んでるんですよね、富裕層の人たちって。自然でいろいろしたいっていうので、奈良に来ても山の中を歩いてみたり、自転車に乗ってみたりとか。自然に身を任せる機会がないから、日本に来たら自然に行きたいとか。

北欧の友達なんかは自転車にすごい乗るんだけど、自転車道がきちっと決まってて自由に乗れないんですね。で、日本に来たら自転車がけっこう自由に乗れるから楽しいとか言って。

岡道:そうなんですね。

藤沢:日本人が見てほしいっていう場所じゃなくて、日本人の文化とか習慣とか、自然に触れてもらう、ナチュラルなものを見てもらうっていうのが、彼らにとっても一番おもしろい。

岡道:すごい勉強になった。本当に人によるんでしょうね。

ゴルフツーリズムのお客さんは滞在期間が伸びるっていうデータがあるので。その分、いろんなところにも行ってもらいたいですし、僕もいろんなところを紹介したい。でも、ありきたりなところしかまだ伝えきれてないですし、僕自身がわかってないっていうのもあるから。いろんなところと組めるのかなと思ってますね。

「日本人が見ていいところは、だいたい外国人はいいと思わない」

藤沢:たぶん、岡道さんが紹介したいとこを探すと、それは外国人に刺さらないので。

岡道:やばい(笑)。

藤沢:(外国人の)人たちにいろんなとこに行ってもらって、刺さったところを教えてもらって伝えたほうが、きっといいと思う。

岡道:感性が違いますもんね。

藤沢:日本人が見ていいところは、だいたい外国人はいいと思わない。

岡道:いやー、そうか。ゴルフ場も同じだと思うし。だからゴルフ場も、外国人の人に最初どんどんプレーしてもらって、どうしたら外国人がもっとプレイして楽しめるかっていうのは、聞いていきたい。

「外国人専門のゴルフ場があってもいいと思ってるぐらいです」

岡道:ゴルフ場のブランディングをしていくと。だから、外国人専門のゴルフ場があってもいいかなと思ってるぐらいです。本当にラフにやるところとか、子どもも一緒に入れるところとか、いっぱい作って。カートにね、犬とかも乗せられますよとか。日本でも少ないんですよね。そういうのをもっとやりたいなと思ってますね。

藤沢:だから広がりますね。

岡道:広がりますよ。だってね、地方創生。さっき言ったホテルとかまだまだ足りないので、そういうのを一緒に作ってくれる会社さんがあればいいですし。

藤沢:地方の銀行とかが最近ホールディングス化して不動産もやるようになってきているから、そういうところとか。やり始めて、目に見えて動きが出てくると、いろんな人がアイディアを持ってくると思うので。そういうネットワークをいち早く作れたかどうかっていうのが早いもの勝ちかなと思うので。

岡道:ぜひぜひ。ありがとうございます。本当に今日は話を聞いていただいて。

藤沢:いいえ。社長Talk番外編ですけど、一緒にやってた人にインタビューするって、おもしろいことになりましたが。でも上場を目指すんですか。

岡道:上場も目指します。しっかりとやっていきたいなと思ってますので。

藤沢:じゃあ、上場されたら今度は本番のトークのゲストに。

岡道:はい、ぜひ出たいです。

藤沢:出ていただけるのを楽しみにしております。生い立ちとかはそのときに置いといて、本番でいつもどおりのインタビューをさせていただけるのを楽しみにしています。今日はありがとうございます。

岡道:ありがとうございました。

初出:Voicy「藤沢久美の社長Talk」番外編

本記事は音声番組の内容を、読みやすさのために一部編集・再構成しています。

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